裏側矯正は後悔する?7つのデメリットの本当のところ

一般的なワイヤー矯正は、歯列の表側にマルチブラケットを設置することから、どうしても“見た目が悪さ”が目立ちます。歯列矯正は数年に及ぶ治療であり、その点に不安を感じる方が少なくないようです。

一方、歯列の裏側にブラケットを設置する「裏側矯正」は、見た目が良く、周囲に気付かれることなく歯並びの治療を進められることから人気も非常に高いのですが、デメリットもあることを知っておいてください。ここではそんな裏側矯正の7つのデメリットについてわかりやすく解説します。

裏側矯正7つのデメリット

裏側矯正には、次に挙げる7つのデメリットがあります。

1.裏側矯正は食べにくい

矯正治療を始める上でまず気になるのが「食事」ですよね。裏側矯正では歯列の裏側に装置を装着することから、表側矯正よりも食べにくい傾向にあります。

また、極端に硬いものや粘着性の高いものを口にすると、装置が破損しやすくなるのも裏側矯正のデメリットのひとつといえます。もちろん、この点は表側矯正にも共通しているのですが、裏側矯正の方が顕著であるといえます。

2.裏側矯正は滑舌が悪くなる

私たちが言葉を発する時には、舌が複雑に運動しています。例えば、サ行やタ行、ラ行の言葉を発音する際には、舌が歯列の内側に接しているのがわかるかと思います。

そのため、裏側矯正の装置があると、どうしても滑舌が悪くなります。とくに装置を装着した直後は異物感・違和感も大きく、しゃべりにくさを強く感じることでしょう。

3.裏側矯正は歯磨きしにくい

歯列の裏側は、唾液による自浄作用が働きやすく、表側矯正よりも虫歯・歯周病のリスクは低下するのですが、歯磨きしにくい点は否めません。当然、表側矯正も歯磨きしにくいのですが、鏡を見ながらブラッシングやクリーニングできるため、時間はかかるものの汚れをしっかり落とすことは可能です。

一方、裏側は装置の位置関係上、どうしても勘に頼った歯磨きとなってしまいます。その結果、磨き残しが多くなる傾向にあります。

4.裏側矯正は違和感・異物感が大きい

矯正装置による違和感は治療法によっても異なります。表側矯正は唇やその周囲への違和感が大きいですが、裏側矯正はお口の中の違和感が大きくなります。とくに舌感が悪くなる点は裏側矯正ならではといえます。とはいえ、裏側矯正が痛いということはまずありませんのでご安心ください。

また、裏側矯正でキスをする場合、装置が邪魔にならないか心配されている方も多いですが、基本的に問題ありません。むしろ、表側矯正よりも裏側矯正の方がキスしやすくなる傾向にあります。ただし、キスの仕方によっては、パートナーのお口を傷つける恐れがあるため、その点は事前に伝えておきましょう。

5.裏側矯正は費用が高い?

標準的な表側矯正と比べると、裏側矯正は費用がやや高くなります。これは、裏側矯正が非常に専門性の高い矯正治療であり、それ相応の知識や経験が必要となるからです。

また、矯正装置はすべてオーダーメイドとなる点も費用の高さに影響しています。裏側矯正の具体的な費用や値段は、症例によって変動しますので、気になる方はお気軽にご相談ください。

6.裏側矯正は治療期間がやや長くなる

裏側矯正は特殊な治療法なので、表側矯正よりも治療期間がやや長くなる傾向にあります。標準的なケースだと、裏側矯正の方が3~6ヶ月程度、治療に要する期間が長くなります。場合によってはそれ以上長くなることもあります。

例えば、スペースが不足している乱ぐい歯で、内側に入っている歯を外側に押し出すような移動は、裏側矯正の不得意な処置です。装置の構造上、効率良く外側に押し出すのが難しくなっています。逆に、歯を歯列の内側に入れるような移動は、比較的早く行えます。

7.表側にも装置を付けることがある

裏側矯正では基本的に装置を歯列の裏側に設置しますが、表側にプラスチック製の突起物を付けることもあります。突起物はレジンで作られているので目立つことはありませんが、そうした例外があることも知っておいてください。ケースによっては、奥歯の表側に金属製のワイヤーを付けることもあります。

裏側矯正で後悔しないために

ここまで、裏側矯正のデメリットについて詳しく解説してきましたが、決して裏側矯正をおすすめしないというわけではありません。裏側矯正には、表側矯正にないメリットがたくさんあり、強くおすすめできるケースも多々あるからです。

そこで最後に、裏側矯正で後悔しないために意識しておくべきポイントをいくつか挙げておきます。

治療の優先順位を決めておく

歯列矯正を検討する上では、まず治療に関する優先順位をしっかり決めておきましょう。例えば、「見た目が良い、装置が目立ちにくい、矯正をしていることを周囲に気付かれたくない」このような点を最優先にするのであれば、裏側矯正をおすすめできます。

裏側矯正は表側矯正よりも明らかに目立たない装置だからです。それよりも治療期間の短さ、治療費の安さを優先するのであれば、他の矯正治療を検討しましょう。

裏側矯正のデメリットを理解する

裏側矯正には、表側矯正にないデメリットがありますので、その点はしっかり理解しておくことが大切です。今回ご紹介した内容では少しわかりにくい点もあるかと思いますので、関心のある方はお気軽に当院までご相談ください。カウンセリングにてさらにわかりやすくご説明します。

セカンドオピニオンも利用できます

矯正治療では、セカンドオピニオンを利用される方も多いです。主治医の診断や治療計画に不安や疑問がある場合は、他院の先生に“第二の意見”を求めてみましょう。歯列矯正は長期間に及ぶ治療なので、心から納得いった状態でスタートさせることが大切です。

まとめ

裏側矯正にはメリットだけではなくデメリットも伴います。裏側矯正を検討中の方は、その両方をしっかり理解した上で治療を選択することが重要です。裏側矯正で後悔しないためにも、事前の準備はしっかり行ってください。当院までご相談いただければ、そのお手伝いができます。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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