裏側矯正は標準的な表側矯正とは異なる点が多々あるため、不安に感じることも多いかと思います。とくに矯正中の「痛み」に関しては、その理由から対処法までわからないことだらけかと思います。
そこで今回は裏側矯正で痛みが出るケースと対処法について、名古屋市千種区の星ヶ丘矯正歯科がわかりやすく解説します。
裏側矯正とは
装置を歯の裏側に設置する矯正法
標準的なワイヤー矯正は、ブラケットやワイヤーを歯列の表側に設置することから「表側矯正」と呼ばれています。それらを歯列の裏側に設置するのが「裏側矯正」であり、リンガル(舌側)ブラケット装置と呼ぶこともあります。
裏側矯正のメリット
裏側矯正の最大のメリットは、装置が“見えない”点です。最近話題の審美性に優れたマウスピース矯正は、装置が“目立たちにくい”のですが近くで見ればその存在に気付きます。
一方、裏側矯正は装置が全く見えないため、数ある矯正法の中で最も審美性に優れているといえるでしょう。その他、裏側矯正には「装置を気にならず、心理的ストレスが少ない」「歯の動きを確認しやすい」「矯正装置による外傷が少ない」といったメリットが挙げられますが、最後のメリットは今回のテーマに関わってきます。
裏側矯正で痛みが出るケース
ここからは、裏側矯正で痛みが出るケースの解説です。
装置が舌を刺激している
裏側矯正で痛みが出る最もわかりやすいケースは装置による刺激です。上述したように、裏側矯正は歯列の裏側にブラケットやワイヤーを設置するため、唇や頬の内側の粘膜を傷付けにくく、表側矯正よりも外傷が少ないです。
ただ、舌に対する刺激は裏側矯正の方が多くなります。慣れるまではワイヤーなどで舌を傷めることがあるため要注意です。裏側矯正を始めて数週間も経過すれば、装置の存在にも慣れて、舌を傷めることもなくなります。
歯の移動に伴う炎症反応
歯列矯正では、歯を移動する際に必ず炎症反応が起こります。それ自体は治療が適切に進んでいる証拠なので、過剰に心配するはありません。とくにワイヤーを調整してから2~3日程度は、噛んだ時の痛みが強くなります。その後は痛みも徐々に和らいでいくことでしょう。歯並びやワイヤーの屈曲の程度によっては、もう少し強く、長く痛むことがありますが、必ず調整後に主治医から説明があるかと思います。
歯の移動に伴う知覚過敏
歯が移動すると、これまで歯茎に埋まっていた部分がお口の中に露出し、冷たいものやブラッシングで痛みを感じることがあります。「キーン」とする知覚過敏の症状ですね。これも歯列矯正でよく見られるのですが、歯の石灰化が進むことで自然に改善されていきます。普段からフッ素入りの歯磨き粉を使って、歯の再石灰化を促していきましょう。
歯肉炎・歯周炎になっている
歯の移動に伴う炎症反応は、主に顎の骨である「歯槽骨(しそうこつ)」で起こります。当然ですが炎症反応に細菌は関与していません。一方、装置の周りが不潔になって歯垢・歯石がたまり、細菌感染に由来した炎症反応が起こっている場合は病気といえます。いわゆる歯肉炎や歯周炎がそれに当たり、積極的な治療が必要となります。
虫歯になっている
裏側矯正は、装置の位置関係上、唾液による自浄作用を受けやすくなっています。そのため表側矯正より細菌の繁殖が起こりにくいのですが、ケアが不十分だと虫歯になります。冷たいものや甘いものがしみたり、安静時にもジンジンとした歯痛が生じていたりする場合は、虫歯が疑われます。歯列の裏側は自分で確認することが難しいため、できるだけ早く歯科を受診しましょう。
裏側矯正の痛みはいつからいつまで続く?
上述したように、歯の移動に伴う痛みは、装置を初めて装着した時やワイヤーを調整した直後から痛みが始まります。痛みがいつまで続くかはケースによって異なりますが、一般的には2~3日でピークを迎え、1週間もすれば消失します。装置による舌への刺激は、数週間もすれば気にならなくなることでしょう。歯周病や虫歯になっている場合は、それらを治療で治さない限り、痛みはいつまでも続きます。
痛みが耐えられない時の対処法
最後に、裏側矯正による痛みが耐えられない時の対処法について解説します。
生理食塩水でお口をゆすぐ
生理食塩水には、お口の粘膜の痛みや炎症反応を和らげる効果が期待できます。1リットルのお湯に9グラムの食塩を溶かすだけで作れるので、裏側矯正で痛みが生じた際には生理食塩水によるうがいを試してみてください。冷たい生理食塩水を口にすると、かえって痛みが強くなることもあるため、その点は注意が必要です。
痛み止めの薬を服用する
裏側矯正による痛みが強く、勉強や仕事、睡眠にまで支障をきたす場合は、痛み止めを使いましょう。服用するのは歯科医院から処方されているもので、普段から使い慣れている市販の鎮痛剤でも構いません。ただし、痛み止めを使いすぎると炎症反応が抑制されることで歯の移動も妨げられてしまいます。また、胃腸や肝臓への負担も大きくなることから、常飲することはおすすめできません。
装置をワックスでカバーする
ブラケットやワイヤー、結紮線(けっさつせん)などが当たって痛みが生じている場合は、専用のワックスでカバーをしましょう。適切な量のワックスを指で千切って、該当する場所所に盛り付けるだけです。食事の際に誤って飲み込んでしまっても健康を害することはありませんのでご安心ください。
主治医に相談する
上記の方法でも痛みを抑えられない場合は、主治医に相談しましょう。装置の不具合による痛みであれば、すぐに改善できます。虫歯や歯周病による痛みは、それらの治療を始めることになるでしょう。いずれにせよ裏側矯正の期間中に痛みが生じた場合は、その都度、主治医に伝えて指示を仰ぐことが大切です。
まとめ
裏側矯正で痛みが生じるケースと対処法について、星ヶ丘矯正歯科が解説しました。裏側矯正を始めた直後は、舌が痛いと感じることも多くなりますが、次第に慣れていきます。それ以外の痛みに関しても、個々のケースでしっかりとした対処法が確立されているため、それほど心配する必要はありません。
ちなみに、星ヶ丘矯正歯科は、裏側矯正の診療実績豊富な歯医者さんなので、痛みが出ないように器具を設置したり、ワイヤーを調整したりするのが得意です。痛みが生じた際も迅速に対応することができます。