歯並びは良い人も「口ゴボ」は自力でなく矯正治療で治しましょう

こんにちは。名古屋市の星ヶ丘DC矯正歯科、院長の亀山です。コンプレックスというのは、主に顔の周囲に現れやすいものです。とりわけ、口ゴボ(くちごぼ)のような口元に関するコンプレックスは多く、何とかして改善したいと悩まれている方もいらっしゃることでしょう。

しかも、口ゴボは歯並びがいいにも関わらず、口元が突出しているケースも珍しくないので、ますます改善方法に迷ってしまうかもしれません。ここではそんな口ゴボの特徴や診断方法、矯正治療で治す方法などをわかりやすく解説します。

そもそも「口ゴボ」とは?

「口ゴボ」というのは、あくまで通称で正式には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といいます。「出っ歯」と表現されることもあるこの症状は、歯並びがいい場合も悪い場合もあるため、素人ではなかなか見極めにくい点が多いといえます。 実際、美人で歯並びはいいのに口ゴボになっている方もいらっしゃるので、そもそも矯正治療が必要なのかも判断しにくいことでしょう。そこでまず、「自分でできる口ゴボ診断」で、症状の有無をある程度把握してみましょう。

自分でできる口ゴボ診断

口ゴボの症状は、次に挙げる3つの方法である程度、把握することができます。

1.口を閉じて下唇の溝やシワを観察する

口ゴボの人は、唇を自然に閉じるのが難しいです。半ば強引に閉じることから、下唇の下に深い溝が現れたり、梅干し状のシワが生じたりします。そうした症状が認められる場合は、口ゴボが疑われます。

2.人差し指で「Eライン(イーライン)」を確認する

鼻の頭と顎の先端を結んだ線を「Eライン」といいます。このラインを唇が触れるか触れないかくらいが日本人のバランスのいい横顔といわれています。ご自身で歯の頭と顎の先端に人差し指をかざして、唇が強く押しつぶされるようであれば、口ゴボが疑われます。

3.横顔の写真を撮って確認する

横顔の写真を撮影することで、口ゴボの症状を視覚的に確認できます。その際、しっかり真横から撮影することが大切です。撮影する角度がズレてしまうと、横顔の印象が大きく変わり、口ゴボの診断は難しくなります。

口ゴボは自力で治せる?

上述した方法で口ゴボの症状が明らかになった場合、何とかしてそれを治したいと思いますよね。 最も確実性の高いのは歯科医院で受ける矯正治療ですが、お金や時間がかかりますし、歯並びはいいというケースでは、そもそも矯正治療は必要ないのでは?と感じるかもしれません。そこで多くの人が発想するのが「口ゴボを自力で治す」という方法です。

◎口ゴボは自力で治せません

結論からいうと、口ゴボを自力で治すことは不可能です。 なぜなら、口ゴボは歯並びやかみ合わせ、顎の骨格の異常が原因となって生じている症状だからです。それは「美人で歯並びはいい」というケースにおいても、同じことがいえます。そこで気になるのが口ゴボになる原因ですよね。

口ゴボになる原因

口ゴボになる原因は、大きく5つに分けられます

1.上の前歯が前方に傾いている

上の前歯が前方に傾いていると口ゴボになります。日本人に比較的多く、矯正治療によって改善しやすい口ゴボといえます。

2.上の顎が前方に突出している

歯並びはキレイでも上の顎の骨が前方に突出している口ゴボになることがあります。専門的には上顎前突症(じょうがくぜんとつしょう)と呼ばれるもので、歯列矯正と外科矯正などを組み合わせることで症状を治せることが多いです。重症度が高い場合は、医科での外科治療が主体となります。

3.下の前歯が後方に傾いている

下の前歯が後方に傾いていても、上の前歯が相対的に前方へと突出しているように見えるため、口ゴボの症状が現れることがあります。これも矯正治療によって改善しやすい口ゴボです。

4.下の顎が後方に位置している

下の顎が後方に位置している、あるいは上顎と比べて小さい場合も結果として口ゴボの症状が現れやすくなります。これも骨格的な異常なので、矯正治療単独ではなく、外科矯正などを併用しなければ口ゴボの症状を改善できないことが多いです。

5.鼻が低く顎がない

歯並びが良く上下の顎骨の位置関係が正常であっても、鼻が極端に低かったり、顎がなかったりするタイプでは、自ずと口ゴボの症状が現れます。このケースは口ゴボの症状を歯科治療で改善するのは不可能です。

口ゴボを放置するリスク・デメリットについて

ここまで口ゴボの特徴や原因について解説してきましたが、そもそも口ゴボにはどのようなリスクやデメリットがあるのかも気になりますよね。

◎見た目が良くない(=口元のコンプレックスになる)

口ゴボのデメリットとしてまず挙げられるのは審美性の問題です。やはり、口元が膨らんでいると、見た目があまり良くありませんよ。美人で歯並びがキレイでも、口ゴボによって強いコンプレックスを抱いている人は少なくありません。

◎歯や口の中が乾きやすい

口ゴボで唇を閉じにくいケースでは、歯やお口の中が乾きやすくなります。その結果、お口の中で細菌が繁殖しやすくなり、口臭の発生やむし歯・歯周病の発症リスクが上昇します。

◎そしゃく能率が落ちる

歯並びやかみ合わせの異常によって口ゴボになっているケースでは、そしゃく能率の低下が著しいです。食べ物を効率良くそしゃくできないため、歯や歯茎、顎の関節などに過剰な負担がかかります。

口ゴボは矯正治療で治しましょう

上述したように、口ゴボは自力で治すことが難しい症状です。しかも、放置することで様々なリスク・デメリットが生じるため、できるだけ早期に改善した方が良いといえます。 口ゴボの症状に悩まされている方は矯正歯科医院を受診して、正確に診断してもらいましょう。その上で、最善といえる治療を受けることが大切です。 一般の人から見て歯並びは良いケースでも、精密に診断すると、かみ合わせの異常などが見つかることも珍しくありません。

まとめ

このように、口ゴボは見た目の問題だけでなく、噛む機能にも大きな影響を与えかねないものなので、まずは歯医者さんに相談することをおすすめします。自力で治すことは不可能であり、それを試みるだけで症状が悪化する場合もありますのでご注意ください。
著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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