矯正歯科で働くか迷っている歯科衛生士に知っておいてほしい仕事内容とやりがい

ワイヤーとブラケット(ワイヤーを通すための矯正装置)を用いる矯正法は、「表側矯正」と「裏側矯正」の2つに大きく分けることができます。それぞれ異なるメリットとデメリットがあり、治療手順に違いもありますが得られる結果はほぼ同じです。

それだけに表側矯正と裏側矯正のどっちを選んだら良いか迷ってしまう方も多いようです。今回はそんな2つのワイヤーの費用や期間、仕上がりを比較しながら、違いについてわかりやすく解説します。

歯科にはいろいろな診療科があり、それぞれ行っている治療が大きく異なります。とくに矯正歯科は専門性が最も高い診療科のひとつと言って過言ではありません。そんな矯正歯科で働くか迷っている歯科衛生士の方は、業務内容や仕事のやりがいなどを詳しく知りたいことでしょう。

矯正歯科で働く歯科衛生士の仕事内容

矯正治療を専門に行っている歯科医院は、虫歯や歯周病といったいわゆる“一般歯科”の治療を基本的に行っていません。また、自費診療のみに対応している歯科医院がほとんどといえます。そんな矯正歯科で働く歯科衛生士の仕事内容は次の通りです。

歯科治療の診療補助

歯科医師の診療補助に関しては、一般の歯科医院と同じです。歯科医師が患者様の口腔内に処置を加える際、バキュームなどでアシストします。矯正歯科では小臼歯などの便宜抜歯を行う機会も多く、その時は通常の歯科治療と同様、歯科衛生士が補助することになります。

口腔内写真やレントゲン撮影の補助

矯正治療では始めに精密検査を実施します。口腔内写真やレントゲンの撮影、印象採得などを必ず行わなければなりません。その中でもとくにレントゲン撮影には特色があり、慣れるまでには時間がかかる歯科衛生士の方も少なくありません。

専門的には「セファログラム」と呼ばれる撮影法で、通常のレントゲン撮影とは、角度や距離、撮影枚数などが異なります。精密な診断を下す上で非常に重要な資料となるため、正確に撮影する必要があります。歯科衛生士は患者様を適切な位置に誘導したり、撮影の際の注意事項などを伝達したりする役割を担います。

矯正用ワイヤーの交換や結紮

マルチブラケットを用いたワイヤー矯正は、1ヶ月に1回くらいの頻度で患者様が通院されます。歯の移動量などに応じてワイヤーの屈曲を調節するのは歯科医師の仕事ですが、ワイヤーを撤去したり、結紮(けっさつ・血管をしばる)したりするのは歯科衛生士に任せる歯科医院が多いです。一般歯科ではほとんど経験することのない処置であるため、一から指導してくれる歯科医院がほとんどといえます。

クリーニング・TBI・SRP

矯正治療中は装置の影響で口腔内に汚れがたまりやすくなります。口腔ケアの方法が不適切だと、歯垢や歯石などが堆積して虫歯・歯周病のリスクが大きく上昇します。そこで重要なのが矯正歯科の歯科衛生士によるクリーニングやTBI、SRPなどです。

これらは一般歯科でも行う業務ではありますが、基本的にブラケットやアンカースクリュー、矯正用バンドなどが設置されているため、さまざまな点に配慮しながらクリーニングやSRPを進めていかなければなりません。

歯科衛生士としてのやりがい

上述したように、矯正歯科では一般歯科とは少し異なる業務を担当することが多いです。また、診療の形態の違いから、次に挙げるようなやりがいを感じることができます。

患者様との関係が深くなる

標準的な歯列矯正は動的治療に2~3年、保定でさらに2~3年かかるため、患者様とのお付き合いも自ずと長くなります。一般歯科だと数週間で治療が完了するケースが多くを占めることから、この点に矯正歯科の特徴が大きく現れているといえます。

診療自体もどちらかというとゆったり進んでいくことから、患者様とお話する機会も多くなり、関係も深まっていくことでしょう。これは医療従事者としてやりがいを感じられる部分でもあります。

歯並びの変化を近くで見届けられる

一般歯科の虫歯治療では、歯を削り、コンポジットレジンを充填して処置が完了、という診療が比較的多くなります。それ自体は決して悪いことではないのですが、病気や異常が治った喜び、感動などを患者様と共有する機会はそれほど多くはありません。

一方、矯正治療は毎回の診療で少しずつ歯が移動していくことを実感できます。患者様もそれが嬉しくて、歯科医師や歯科衛生士と喜びを共有したくなるものです。そうした患者様の悩みや病気が改善していくことを近くで見届けられるのは、矯正歯科の歯科衛生士のやりがいのひとつとして挙げられます。

矯正歯科のプロフェッショナルになれる

矯正歯科の歯科衛生士として働いていると、当然ですが矯正に関する技術・知識が身に付きます。これは一般歯科では絶対に手にすることができないスキルであり、ご自身の強みとなることは間違いありません。

昨今は、矯正歯科衛生士の資格を認定している特定非営利活動法人などもあることから、資格取得の助けにもなることでしょう。歯科医師はもちろんのこと、歯科衛生士もやはり強みがあることで、より良い職場を見つけやすくなります。今後のキャリアアップを考える上でも、矯正歯科で働くメリットは大きいといえます。

矯正歯科の求人情報でチェックしておきたいポイント

矯正歯科の歯科衛生士で求人を探す場合は、以下のポイントをチェックするようにしましょう。

診療科目

「矯正歯科」という名称がついている歯科医院でも、それ以外の診療を行っているところは珍しくありません。取り扱っている矯正法によっても、歯科衛生士の業務は変わってきます。当然ですが、マウスピース矯正だけを行っている矯正歯科では、ワイヤー矯正の診療などを補助することはできません。

ユニット設備・1日の患者数・スタッフ構成

ユニットの台数や1日の患者数、歯科医師・歯科衛生士の人数などを確認することで、実際の業務がどのくらい忙しくなるのかなどを予想することが可能なります。求人票に記載がない場合は、面接の際に質問しましょう。

給料・昇給・賞与

どんなにやりがいを感じられる職場でも、給料が安かったり、昇給や賞与がなかったりすると働くモチベーションを保ちにくいです。交通費の支給の有無や社会保険なども事前にしっかり確認しておきましょう。年収にするとどのくらいのになるのか、また新卒も受け入れているのかなどの情報も事前にチェックしておきたいものです。

まとめ

矯正歯科で働くか迷っている歯科衛生士の方に是非とも知っておいてほしい業務内容や仕事のやりがい、求人情報でチェックすべきポイントについて解説しました。名古屋市千種区の星ヶ丘矯正歯科でも歯科衛生士の方の求人を出しておりますので、何か気になることや聞いてみたいことがあれば、お気軽にご連絡ください。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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