【矯正専門医が教える】これがインビザラインのデメリットです

透明なマウスピースを使うインビザラインは、装置が目立たず、取り外しも可能であることから、年々、人気が高まっています。従来法とは異なるメリットがあるのも耳目を集める理由になっているのでしょう。

そこで見落としてはいけないのがインビザラインのデメリットです。インビザラインには、ブラケット装置にはないデメリットが多々あります。今回はそんなインビザラインのデメリットについて、名古屋市の矯正専門医が詳しく解説します。

インビザライン6つのデメリット

マウスピース型矯正装置のインビザラインには、次に挙げるようなデメリットがあります。

適応範囲は比較的狭い

インビザラインは装置の性質上、治せる症状の範囲が比較的狭くなっています。多くの歯科医院は、インビザラインの適応症として、軽度から中等度のケースを想定しているのはそのためです。とくに抜歯をして歯を大きく動かさなければならない症例は、インビザラインできれいに治すことが難しい場合が多いです。

歯を削ることがある

上述したように、抜歯をしなければならない歯並びは、インビザラインの苦手な症例のひとつなので、それを回避する方法を優先的に考えます。その際、よく採られるのが「IPR」や「ストリッピング」、「ディスキング」と呼ばれる手法です。

歯の両側面を少しずつ削って幅を狭くする方法で、複数の歯に処置を加えることでまとまったスペースを確保できます。歯の切削は微量にとどまるため、処置を施した後に虫歯リスクが上昇することはまずありません。それでもやはり健康な歯を削らなければならない点に、インビザラインの大きなデメリットを感じる人は少なくないようです。

マウスピースを着けないと歯が動かない

これはインビザラインというシステムの根幹にかかわる点ですが、矯正装置であるマウスピース(=アライナー)を1日20~22時間装着しなければ歯が予定通りに動いていきません。マウスピースを着けるのを忘れたり、故意に外したりしていると、歯が動かずに治療計画も破綻してしまいます。つまり、インビザラインの着脱を自分で管理できない場合は、そもそも歯列矯正が成立しないというデメリットを伴うのです。

マウスピースを着けるだけではない

インビザラインに対しては、“目立ちにくい透明なマウスピースを着けるだけで歯並びがきれいになる”というイメージを持たれている方が多いです。けれども、実際はマウスピース以外にも装着しなければならないパーツがあります。それは「インビザラインアタッチメント」と呼ばれるものです。インビザラインアタッチメントとは、歯の表面に設置するプラスチック製の突起物で、マウスピースの浮き上がりを防止したり、歯を効率よく動かしたりする作用が期待できます。

インビザラインアタッチメントは、歯の治療でも広く活用されるレジンで作られているため、目立ちにくくはあるのですが、異物感や違和感は拭えません。食事や歯磨きの際に邪魔となる点は、大きなデメリットといえるでしょう。ブラケットほど強力には固定されておらず、外れやすいのもデメリットです。

食べ物・飲み物を気軽に口にできない

これはインビザラインの盲点となりやすいデメリットです。なぜなら、インビザラインというと「食事制限がない」「普段通りに食事ができる」矯正法として有名だからです。確かに、マウスピース型矯正のインビザラインでは、食事の時に矯正装置を外せるので、普段通りに食事ができます。ただし、それは“マウスピースを外している時”だけです。

インビザラインのマウスピースは、1日20~22時間装着しなければならないので、“マウスピースを着けている時”の方が圧倒的に長くなっています。その間、口にできるのは原則として「水」のみとなります。砂糖が含まれた清涼飲料水を飲めば、歯とマウスピースとの間に停滞して虫歯を誘発しますし、無糖のコーヒーでも着色が促されるからです。当然、食べ物をそしゃくするとマウスピースが破損するため食事もできません。このインビザラインのデメリットは、実際に矯正を始めてみなければ実感することが難しいです。

噛み合わせが悪くなることもある

マウスピース矯正のインビザラインは、軽度の歯並びの乱れを整える上では有用な治療システムといえますが、噛み合わせまでしっかり治せるかというと、そこには疑問が残ります。例えば、マウスピースを正しく装着できていなければ、歯列に適切な矯正力が加わりませんし、歯ぎしり・食いしばりの習慣があると、装置を介して不適切な力が加わることもあります。

また、インビザラインのマウスピースは、歯を三次元的に動かすことに向いていないことから、上下の噛み合わせを細かく調整するのがそもそも得意ではありません。矯正専門医からすると、噛み合わせは歯並び以上に重要なものであるため、それを精密に調整することが難しいインビザラインには、極めて大きなデメリットがあると言わざるを得ません。もちろん、歯並びの状態や担当する歯科医師の技術・能力によっては噛み合わせまできちんと治すことも可能なので、この点はあくまでインビザライン矯正におけるひとつの傾向として捉えてください。

見えない裏側矯正にしませんか?

このように、インビザラインにはマルチブラケット装置(表側矯正)やリンガルブラケット装置(裏側矯正)にはないデメリットがたくさんあります。それらを正しく理解せずにインビザラインを選ぶことは、治療の失敗や後悔へとつながるため、十分な注意が必要です。もしも「目立たない矯正」という理由からインビザラインを検討されているのであれば、裏側矯正も選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。

装置が“見えない”矯正法

インビザラインのマウスピースは“目立たない”矯正装置であり、至近距離ではその存在を確認できます。光も反射するため、明らかに何かを着けているように見えるのです。一方、歯列の裏側にブラケット装置を配置する裏側矯正は、装置が“見えない”のが最大の特徴です。至近距離で観察しても何も着けていないように見えるため、矯正中であることに気付かれません。

しかも、上述したインビザラインの6つのデメリットもほぼすべて解消できます。少し特殊な矯正法となりますが、患者さんが得られるメリットは極めて大きいです。名古屋市の星ヶ丘矯正歯科なら、裏側矯正の実績豊富な矯正専門医が治療を担当しますので、難しい症例でも対応可能です。

まとめ

今回は、インビザラインのデメリットを矯正専門医が解説しました。インビザラインは画期的な矯正法であることに間違いはありませんが、決して万能ではありません。気軽に歯並び治療を行える分、従来法にはないデメリットも伴います。そんなインビザラインや最後にご紹介した裏側矯正に関心のある方は、いつでもお気軽に名古屋市の星ヶ丘矯正歯科までご相談ください。

著者プロフィール
矯正歯科医師:亀山威一郎

星ヶ丘DC矯正歯科:医院長・愛知学院大学歯学部非常勤講師 ・日本矯正歯科学会 認定医 ・ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 専門医 ・世界舌側矯正歯科学会 認定医 小学生のとき矯正治療をするも、保定装置を使わなかったため後戻りし中学生で再治療を経験。そんな子供時代を過ごしながら歯科医師を志す。過去を振り返ったときにあのときに矯正してよかったと思える治療を目ざしています。

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